日にごとのまとめでは治療期間中の経過日ごとに症状や生活などを具体的に紹介しています。ここでは副作用の症状毎の側面から紹介します。
注: あくまでも私のケースです。
目次
現在の治療
FOLFILIを4週間に一度のペースで実施しています。
治療初日は通院で点滴にて抗がん剤を投与、その後ポータブルのポンプを利用して46時間の持続注入を実施。
治療開始の2日後(翌々日)のお昼頃に終了します。
抗がん剤の副作用の違いについて
抗がん剤の副作用は大きく分けて、治療期間中(初日からだいたい十日めくらいまで)に強く現れ、その後は無くなる短期のものと、中長期的(治療期間終了後〜慢性的な状態)に現れるものがあります。それらはまったく別物であり、対応も異なります。
短期的な副作用
この項目の副作用の順はきつい順です。
具合が悪い
もうこの一言に尽きます。いろいろ他にはあってもこれがもっともきついです。初日の投薬開始後しばらくして始まり、四日後あたりがピークです。六日目くらいまでははっきりと続きます。
対処方法はありません、ただ約一週間を耐え抜くだけです。
私の場合は「気持ちが悪い」ではありません。「具合が悪い」のです。そのため、吐き気どめはほとんど役目を果たしません。また、この副作用のおかげて生唾がすごいです。飲み込むのがつらいくらい生唾が口にあふれ、それで具合の悪さを思い知らされることもあります。電車の中などでこれが起こると結構面倒です。
昔から「食道にゲンコツを入れているような状態」と説明しますが、未だだれもわかってもらえません。食道に食べ物が詰まって「くぅ〜」ってなると思いますが、それのもう少し弱い版が胃まで巻き込んでいる、という感じ。やっぱり伝わらないですね。
下痢(便秘)
二日目、三日目あたりから下痢が始まります。大体、四日目がピークで六日目には終了します。
ただ時々、真逆の症状が現れることがあります、便秘です。
これは脱水が過度に進行した場合に先っちょが固くて糞詰まりになるためです。過去に2度、エラい目に会いました。初回(2012年)は指をケツの穴に突っ込んでひねり出し、事なきを得ました。二度目(2018年)はほぼ腸閉塞状態になり、病院に駆け込んだのですが浣腸しても解決しなかっため、結局そのまま入院することになりました。2泊3日で退院できましたが、初日のお腹の激痛はかなりのものでした。この経験があるので、下痢は確かにつらいが、便秘はもっと辛いと思っています。
だるい
具合の悪さとは厳密に異なり、体力が削られている感がすごいです。熱があって体がだるい、という感じに似ています。まともに食事ができないと低血糖状態になり、立っているのも辛くなる、なんてこともありました。これは初日から四日目あたりまでが強く出る症状で、六日目あたりから感じなくなります。
具合の悪さもさることながら、このだるさが仕事にはもっとも影響します。これによってやる気が削られるので、いちいち手が止まり生産性がガタ落ちになります。
頻尿
歳のせいか、普段からトイレは近くなっていますが、この期間は大変です。
初日は夜までは1時間おきくらいにトイレに行きます。点滴で水分を大量に入れていることもあるでしょう。夜中は1,2度目覚めるくらい。その後は2~3時間置きくらいになるので、まあ許容範囲内です。二日目の夜以降はどんなにトイレに行きたいと思っても、具合の悪さが勝り眠ってしまう場面が増えるので、夜間は結果的にあまり影響なし。ただし、朝起きた時は大変です。
味覚障害
5-FUの副作用で粘膜がやられることによる口の中の影響の一つです。二日目から症状が現れ、ほぼ無くなる(終わる)のは十日目というほど長い副作用です。ただ、まったく味がわからないという話ではなく、美味しいものが美味しく感じないという程度の話です。
口内炎
味覚障害の延長ですね。5-FUの副作用では割とポピュラーでしょう。これは初期(2011年頃)にちょくちょくなりましたが、最近はほとんど大丈夫です。ただし、口中が敏感なのは事実で、熱いものやざらついたものを口にすると違和感を強く感じます。
手足のしびれ
かつてやっていたFOLFOXではかなりひどかったですが、今現在のFOLFILIでこの症状はほとんどありません。それでも足の裏や手にしびれを感じることはあります。変な話ですが、この時期は下りの階段が結構怖いと感じる場面が多く注意が必要になっています。そのため、下りのエスカレーターでもおとなしく立つようにしています。
声のかすれ
大体初日から二日目、そして七日目あたりにあらわれる症状。薬の血中濃度がある状態になると始まるようです。つまり、治療の初期と終盤。この症状で「あ、本格的に始まったな」「やっとそろそろ終わりか」を知る目安となっています。ß
発汗、鼻水など
イリノテカンの副作用で体のバルブがゆるみます。治療中の初日に強く症状が出て、とにかく汗をかきます。これは季節には関係ありません。ときどき鼻水ダラー、のケースもあります。
中長期的な副作用
順番に意味は特にありません。
脱毛
イリノテカンの副作用としてよく言われる状態ですね。この治療を始めて大体1ヶ月後くらいから毛が抜け始めると説明がありました。ただ、私の場合は影響なさそうです。治療開始前と現在ではあまり状況はかわっていないのです。といっても、治療をやろうがやるまいが元々薄毛なので比較できないだけだとも言います。これを機会に普段は坊主にしているのでもうそんな悩みもありません。男でよかったと思います。
色素沈着
末端部分(指先とか)が黒ずんできます。人によるでしょうが、私の場合は全体的に肌の色が全体的に暗くなるような状態なので、明確にここが黒い、という状態であまり目立っていません。これは色だけの問題なので、実生活には影響ありません。
味覚の変化
短期的な副作用である、味覚障害とは違います。歳のせいもあるでしょう。でも、それ以上に明らかに変わりました。
それまでの人生50年間で肉という肉をまともに食べてこなかった(嫌いでした)のですが、今は中高校生のように肉ばかり求めます。動物性タンパク質を体がとにかく欲しがっているのかもしれないと勝手に解釈しています。また、治療開始当初は辛いもの、要するに刺激物は本当に全くダメでした。これは治療期間中に限りません。回復後でもその状態が続き、カレーパンさえ食べられないほど刺激に弱い状態でした。今は平気です。
乾燥肌
冬は特に大変ですね。体から脂分がどんどん抜けていってます。これも加齢のせいでもあるでしょう。とはいえ明らかに手当てが必要で、最近では保湿クリームは必須ですね。ここ半年くらいはそれでも追いつかなくて、皮膚科でステロイド入りの軟膏を処方してもらわないと手の皮がべろべろ状態です。それでも看護師さんからはこの治療を長期間続けている患者にしては驚くほど手がきれい、と言われ浮かれています。
副作用に影響する食物
食べられる食べられない、という味覚障害や好みの話ではなく、治療期間中に飲み食いするとその症状に影響のあるものをまとめます。
チョコレート
何が作用するかわかっていませんが、いわゆるチョコレートを食べると具合が非常に悪くなります。
コーヒー
直接的にカフェインかなとも思いますが、紅茶とかなら全く平気。苦味も含めた全体ということで理解して、影響のある10日間はインスタントも含めて飲まないようにしています。
みかん
本当にそうなのかどうか、実際に正しく検証したわけではありません。でも、過去にみかんを食べた際に具合が悪くなったことがあったので、今は控えています。反対に影響が全くないことがはっきりしているのはりんごとバナナです。
血糖値の低下
厳密には食品ではありません。具合が悪くて食べられない状態が続くと、当然血糖値が下がっていきます。その影響からか、気づくと具合が悪くなっているケースが多かったです。昔は水・木・金(二日目〜四日目)の3日間は晩御飯は口にしていませんでした。会社から帰るととにかく横になりたかったのです。ただ、翌朝起きると鬼のように辛かったのですが、最近は食欲がどんなになくても無理やり食べるようにしています。そうすると、翌朝の辛さがかなり軽減されていることが実感できています。
ただ、この血糖値と副作用に関しては、私特有なのかもしれません。何度か主治医にこの関連を説明するのですが、まったく相手にされていません。まあ、自助努力で対応できる話なので、もういちいち説明していませんが。
まとめ
抗がん剤治療による副作用は時期によって異なるタイプの症状が現れます。大腸がんの治療であるFOLFILIに関する副作用は割とポピュラーであちらこちらで説明されていますが、結局はよくある症状の説明とはっきりしない対応方法の説明しか書かれていないのが現状です。(最近は症状を軽減できる薬があります、方法があります、こういうことに注意しましょう、程度の表現)
極端な話、この症状はどうにもできないのでひたすら耐えてください、とはまず書いていない。
それらはひとえに理屈、すなわち治療液が及ぼす人体への影響を科学的に捉えて、その影響を抑える薬なり方法をとれば、原理上は緩和されるはずであるという考えがあるのだと思います。(私見ですよ、もちろん)
もちろんそれはそれで有益な情報です。でも当然、万人にあてはまるわけではないので、結局は「個人差」で片付けられてしまい、それぞれの人がそれぞれの知恵で対処しているのが現実だと思います。
私が上に書いた情報は理屈ではありません。実際に私が感じているものですし、対処していることを紹介しています。これがみなさんに当てはまるかどうかはわかりません。ただ、この状態と私は都合8年間付き合ってきています、何かのお役に立てばと思っています。