もしもがんだと知らされたらどうしますか?がんの程度にもよるでしょうが、多くの方は少なからずショックを受けるはず。
ここを読んでいる人は、本人か家族ががん患者という方が大半でしょう。
病院からでも、医者からでも、ネットからでも情報は入手できます。でも、ホンネってどうでしょう?
現役のがん患者として少しつっこんでまとめてみました。
目次
正確な情報
告知前(発覚前)
レントゲンや血液検査、便検査などで疑いがある段階は不安でしょうが、どうせ何もできません。
ビビってもしょうがないので、結果が悪かった時のことを考えてこの後書いてあることを読んでおきましょう。その程度でまだ十分です。
がん患者当事者に本当になってしまったら考えること、やること多いですよ。今の不安なんて消し飛びます。
医師からがんを告知された後
とにかく落ち着きましょう。よほどのことがなければ一分一秒を争う症状ではないことが普通です。今の状態をできる限り正確に把握しましょう。この段階ではまず以下の内容を主治医から確認しましょう。
何がんか?
複数の種類のがんを併発していることはまれです。胃がん、肺がん、大腸がんが3大患者数でしょう。女性の場合は乳がんも多いです。
進行具合は?
俗にステージとよばれるものです。I, II, IIIa, IIIb, IVというのがよく目にする状態です。後者ほど進行度合いが大きいという意味ですが、治る・治らないの度合いと考える必要はありません。単なる分類だと割り切りましょう。
ただし、手遅れ、と言われたら. . .ハラを括って残りの人生考えましょう。
転移状態は?
転移しているからダメで。していないから安心、というわけではありません。治療方針にも影響するので事実は押さえて置きましょう。
治療方法は?
これが病院・医師によってもっとも幅がでる部分です。設備、技術、経験・実績などに左右されるからです。まずは主治医がどう考えているかをしっかりと聞きましょう。
自分で調べる
かつては市販本を読むしかありませんでしたが、今ではネット上にいろんな記述が見つかるはずです。上の確認項目で得た内容を元にいろいろと調べてみてください。検査結果はウソをつかないので、この段階で調べる限り、ネット上のガセネタにおどることはないと思います。
ただ治療方針に絶対はないことをまず理解し、主治医の取る方法が一般的なのかどうか程度は確認しましょう。
人生のこと
実際のところ、治療方針にしたがって治療するだけですからその流れに身を任せている限り日にちは経っていきます。その間や、その後の人生とどう向き合っていくかということは抑えておくべき項目です。
比較的軽微な状態で、治療が簡単に済む場合
治療が終わってしまえば元どおり。ただし、がんになる体(体質)であるという事実は忘れないように。再発した場合や、別のがんが発見されない保証はありません。残りの人生を考える上では必ず「ありうること」として織り込みましょう。
軽微ではないが、治療で区切りができる場合
転移がなく、がんの部位を摘出(要するに手術)すれば、あとは上の状態と同じ。入院前、中、後それぞれに不自由さや痛みなどはあるでしょうが、怪我をしたようなものととらえれば何ら不安がることはありません。
継続治療が必要な場合
化学療法や放射線療法など、外科手術だけでは完治しないケースがあります。予防措置としての抗がん剤治療もあるでしょうが、これは終わりがあるものですからここには入りません。治療を継続するということはまず「直っていない」ということを受け入れましょう。つまり、決着がつかない限り「がんと共生」する人生となるということです。いつ悪化するかわからないという前提で、残りの人生をどう生きるか、本当に真面目に考えてください。
治療ができない場合
いわゆる「余命」宣告ですね。悔いのないように人生を終えるためにはどうしたらいいかだけを考えましょう。人に当たるのはやめましょう、モノに当たるのもやめましょう。だれのせいでもないのです。それが人生です。
一つだけ、死にたくないあまり、自分に都合の良い情報に翻弄されないようにしてください。わらをもすがる気持ちで、あやしい治療(霊感、キノコ等)でも試したいとの衝動に駆られるかもしれません。試すのは自由ですが踊らないように。
お金のこと
当人がまず考えることは人生のことです。でも、それは当人だけのこと。家族がまず考えるのはお金のことでしょう。がんを告知されたらもうがん保険は入れません。住宅ローンだって完治しない限り審査は通らないですから、理解しておくのは重要なことです。
治療費
普通なら保険適用範囲で対応できます。高齢者は別として、一般的には3割負担ですが、手術の場合や抗がん剤治療の際にはそれでも結構な額です。でも心配ご無用、高額医療費には限度額がありますから、月に支払う金額には上限があるのです。これは加入している健康保険に依らない制度ですから必ず利用しましょう。
先進治療?大金持ちの場合や、保険で賄えるのならやればいいでしょう。庶民には関係のないことです。
生活費
治療費に次いで重要なことです。がんになったことにより、仕事に影響が出る場合があります。この部分はそれぞれの家庭のご事情に左右されるでしょうが、治療費と合わせてしっかりと見通しを相談してください。お金は天から降ってくるわけではありません。
家族のこと
患者当人、家族、それぞれの立場があるでしょう。一度でも宣告されたのなら、完治しようがしまいが死ぬまで「がん罹患者」の仲間入りです。この先のことは全てその前提で考えるべきです。
まず言えること。当人が抱え込むことは何の意味もありません。かといって、振りかざすことも周りはウザいものです。普段と変わらない接し方を心がけつつも、お互いに配慮を忘れないことを考えたいものです。これは人と人のことですから正解はありません。ただ、がん患者は「今生きていること」そのものが決して当たり前のことでは無いと思い知っています。
仕事のこと
がんの状態、治療による影響に左右されますが、仕事によるでしょう。
特にサラリーマンの場合は、どこまで知らせるか、会社に特別対応(配慮)はしてもらえるのか、休職中の給料は?などなど。最近はカミングアウトするケースも増えているようですが、人知れず辞めてしまう人もまだまだ少なく無いようです。まずはご自身の会社にどんな制度があるかをじっくりと確認しましょう。同時に健保の制度も調べましょう。
自営業(フリーランス含む)の場合はその事業(業務)継続について冷静に見直していただく必要があります。
まとめ
がんになるということはめずらしくありません。自分だけが特別だと考え、悲劇のヒーロー/ヒロインになりたい気持ちはあるかもしれませんが、人の好意や配慮を当たり前のこととして期待することはやめましょう。
とにかく、まずあわてず、事実をよく把握すること。ここをまずしっかりとやること。すべてはその結果如何です。
その上で、今後についてよく考え、今できることを見極めましょう。お金のことは気になるでしょう。仕事のことと合わせて制度を確認すること。
そして、家族に感謝して生きることを忘れないようにすれば大丈夫です。
おまけ
主治医を信じられますか?
事実を隠す医師はいないでしょう。患者側が知りたいという意思を示せば、医者はその気持ちに答えようとするはずです。
ただ、検査結果の判断や治療方針は一意とは限らないことも知っておきましょう。少しでも不安があれば、セカンドオピニオンを求めるなどを考えて下さい。余談ですが、セカンドオピニオンは治療行為ではありませんから、保険適用外ですよ。